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第7話 事務所 [マンションGETで300万返済]

たぶん、あのモデルルームからの移動が、田所さん(仮名)というオッサン一人だったら着いては行かなかったであろう。

そう、もう一人の関根さん(仮名)という物腰柔らかな若い女性も居たからこそ
コワモテの連中が出てくる雰囲気では無さそうかな、とコチラの警戒心をまんまと解かれた感満載で
言われるがままに、事務所、とやらへクルマで連れて行かれた。

(そのクルマが黒のベンツしかもAMGとか、車高調入ったBMWとかだったりしたら
 「用事を想い出しました」とトンズラしていたと思うけど
 幸い、やや古いトヨタの似たり寄ったりの営業車だったのですんなり乗り込んだ)



物件からクルマでものの5分たらずのところに
控えめな物件に関する看板が建てられたいわゆる不動産販売の事務所があった。


さすが、大手一流不動産会社、ではない販売会社さんだったので
事務所も豪華絢爛というわけではなかった。


逆にそこが安心したけどw



他にも検討中のお客さんがいたようで、何やらドアの色とか壁紙の色とか、お話合いをしていた。




「あちらは、すでにご成約頂いているお客様なんです」


関根さん(仮名)は言った。




『だまされるもんか、だいたいこういうのはサクラだ』


お客さんが来店している時間などしっかり管理されてるはずだし
あえて他の客がいるところに連れてくるもんか。

なんて腹の中はやはり疑い深くありつつも

「へー、壁紙の色とか選べるんですねー、いいなーこれとか」

と思わずやや成約者気分で室内を物色。




コーヒーなどを出され
しばらくしっかり泳がされた後、田所さん(仮名)が僕をさらに奥の部屋へ誘った。。



恐る恐る入ると、普通の商談ルームだった。

ソファーというより、ダイニングテーブルのような角テーブルに椅子が4つ。
その奥はおそらく販売関連の資料などだろう、書類やパンフレットなどの資材が
山積みになっているのをなんとか安いパーテーションで隠していた。


田所さんがニコニコして立っている。



「どうぞ、お座り下さい」




「あ、はい。。。」





頭の中を過去の経験からあらゆる妄想が走った。




あのパーテーションで隠しているのは、、、実は資材ではなく
さらなる奥の部屋への入口で、奥の部屋には
それはそれはな絶世の美女達が酒池肉林の準備をしていて
まずは豊満に注がれたワイングラスを手渡され、

「ご安心ください、お帰りは田所がお車でご自宅までお送りいたしますので…」

なんて、耳元で囁かれる。。




そう、色仕掛け。




そして、隠し撮りされて、財布すられて、免許もコピーされて
勤務先も控えられて、肉親も抑えられて、臓器売買業者を紹介される。





そんな妄想がよぎる。



しかし、現実は違った。




田所さん(仮名)が切り出した。



「○○さんには、正直、この物件を購入して頂きたくはないんです」






???


あれ????


どういうこっちゃ?



やや混乱。



つづきは、第8話 ニーズ、にて。













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